恋愛メンテナンス
clean 17 夢の中の2人
「雑用のシンデレラ?あなたの願いを叶えてあげましょう」

魔法使いの姿のモモちゃんは、私に言った。

私はそれに答えるは、

「お城にいる永田王子様と、どうしても舞踏会でお会いして、告白したいです」

はぁっ?何言ってんだ?…とか思う夢見る私。

そこで魔法使いのモモちゃんは、魔法のスティックでハートを大きく描いた。

ひとふり…。

私はエメラルドグリーンの綺麗なドレスを身に纏う。

もう、ひとふり…。

シルバーの会社の軽ワゴン車と、職場の若い二人の男の子たちが現れ。

シルバーのキラキラの馬車と、若い馬2匹に変わる。

そして、もうひとふり…。

私はアディダスのお気に入りのシューズが、ガラスのヒールに変わる。

「えっ?これは?」

戸惑う私に、魔法使いのモモちゃんは、

「あなたは絶対12時チョッキリでお城を出て、大階段の途中で、絶対ガラスの靴を片方置いて帰って来てね☆」

強制的かよ。

「そんなにうまく出来るかなぁ」

「出来る出来る!」

私はシルバーのキラキラの馬車に乗り込み、モモちゃんに見送られる。

「行ってきまーす」

森をくぐり抜け、永田王子様の居るお城へと入り、たくさんの来客が踊る中、私は永田王子様を探す。

たくさんの人をくぐり掻き分けて、あそこの椅子に堂々と座るは、永田王子様。

私と同じ色のエメラルドグリーンの衣装を身に纏って。

ムスッとして。

退屈そうに頬杖をついて。

長い足をクロスさせて。

「あなたが、永田王子様ですよね?」

尋ねると、

「そうだ。ここは退屈だ。どこか面白い所へ連れ出してくれないか?」

「はい」

私から手を差し出すと、永田王子様はその手を掴んでくれた。

夜空の下の誰も居ない、静かなテラスへと出ると、月灯りに照らされた永田王子様は、息苦さから解放されて、穏やかな顔になっていた。

「おまえ名前は?どこから来たんだ?」

「私は○○メンテナンス株式会社の雑用シンデレラです」

何言ってんだろ、私。

これ、完全に夢の中。

「ここには、どんな用で?」

「どうしても、あなたに会いたかったんです」

意外と素直な私。

「会って、どうしたかった?」

………。

永田王子様は、頭を少しだけ傾げる。

この仕草が、たまらなく好き。

「はい。私は永田王子様が好きです」

「俺が好き?」

「はい。永田王子様の側にずっと居たいです」

「俺の側に居たいのか?」

「はい。でも今夜はどうしても12時までに帰らなくては行けなくて…」

すると、永田王子様は私を抱き締めた。

「俺が好きなら行くな…」

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