恋愛メンテナンス
「ご、ごめんなさい!私、本当にごめんなさい!」

ゴーン♪…ゴーン♪…ゴーン♪…

うげっ?!もう、12時かよ!!

さすが夢の中、鐘の音が早すぎる!!

私は慌てて、永田王子様の手を離す。

「ごめんなさい!ごめんなさい!永田王子様!マジにごめんなさい!」

これでもかってくらい謝って。

大階段を急いで下って…。

しまった!

「永田王子様!このガラスの靴、ここに置いて今夜は帰りますけど!これ、今度私、必ず取りに来ますから!永田王子様に会いに来ますから!それまで持っておいて下さい!!」

あれっ…。

なんか、これ、シンデレラの話と違わない?

「全く…アホだな、おまえ…」

永田王子様は私を見て呆れていた。

私はまた深い森をくぐり抜け、くぐり抜け…。

頭の中では、ずっと永田王子様の言葉。

『アホだな、おまえ』

が、ずっとリピートエコーされていた。

リピートエコーか…

リピートエコーって…

アホだよ…私は…

あんたの前では、アホで居てもいいじゃんよ…

そして、やっぱり夢から醒める。

「…んにゃ…」

コタツで寝そべる私の目の前には…

「ギョヘッ!!なっ…ながっ…」

永田さんの寝顔っ?!

ってか、まさかの向かい合って、コイツも寝そべっていた。

しかも、私の頭を撫でて眠ってしまったようで、永田さんの手元は私の頭に乗っていた。

コトンと手元が落ちる時に、永田さんは目を醒ました。

静かに睫毛が上がって、視線は真っ直ぐ目の前にいる私を見る。

「…何、勝手に一人で寝てんだよ…」

「…あんたこそ、寝ちゃった癖に…」

「…なんか、夢でも見てたんか?…」

「…なんで、そんな事を聞くの?…」

永田さんは、また私の頭を柔らかく撫ではじめる。

「…あんたが見る夢、どんな夢なんかなぁって、思っただけ…」

絶対に言えない!

絶対に永田王子様と雑用のシンデレラの話なんて、言える訳ない!

「…永田さんこそ、どうして私の頭を撫でてるのかな?…」

私は永田さんの手元に触れてみた。

「俺の質問には一切答えないで、質問ばっかすんだな、あんたは…」

永田さんは触れていた私の手元を、逆に握り返してきた。

「俺はあんたと違って、都合の悪い事は1つもないから、教えてやるよ…」

「前置きが長いし、普通に言えっての…」

恥ずかしいから、永田さんの顔が見れない。

だって、凄く近いんだもん。

ムカついたフリを必死でする。

「あんたの寝顔が、あまりにもアホヅラで…」

「アホ言うな!!」

私はムクッと起き上がり、照れ隠しで吠えた。

「…アホヅラで、可愛いと思ったから」

< 51 / 100 >

この作品をシェア

pagetop