恋愛メンテナンス
clean 24 勘違いと仲直り
バレンタインの翌日。

輝は私の帰りがけ、外で呼び止めた。

「何よっ!(怒)」

もちろん私、怒ってますから!

「とりあえずチョコ、サンキューな。…ところでさぁ…おまえ、昨日の前どっか泊まったろ?…どこ行ってたの?」

不安で心配してました。って雰囲気丸出しで、言いにくそうに輝は言ってきた。

「実家」

あっさり答えてやると、

「そう…」

納得したのか、してないのか微妙な返事をした。

はっきりしない反応に、私は更に追い討ちを刺してやる。

「お金ないからぁ。収入足りないからぁ。アパート居るとお金使うからぁ。それに誰かさんに言われた事を思い出して、腹わた煮えくり返りますからぁ。実家に戻って家族と過ごして、まーしーたー!」

どうしたって、私。

こんな嫌な言い方しか出来ない…。

おまえと一緒。

人の事、言えないけど。

「今夜、早く帰るからメシでも行こうや?」

輝は、私の言葉は無視して自分の思いを伝える。

「お金ない!」

私の一気に上がっていく感情を抑えるように、輝が私の腕を強く掴んだ。

「…そんなの、俺出すに決まってんじゃん…」

私はジーッと輝をマジな目で見つめた。

「ちょっと、俺も言い過ぎたし…」

私は腕を払った。

「試用期間は3カ月!アルバイトからパートタイマーに雇用が変わる!…あんたが、そうやって面接の時に言ったのよ!永田副所長さん!…所長の判断で、切り替えるって話が出た時、私!凄く嬉しかったんだから!」

「………」

「なのに、あんた私の目の前で、みんなの前で、無理ですね。で片付けて…悔しかったわ!」

輝の沈黙に、どんどん言葉が出てきて吠えまくる。

「そんな私に追い討ちかけてさぁ、頑張ってる人に対して、頑張ってくれなくていい?…そんな言葉を上司が部下に言うかっての?!」

「…悪かった」

悪いと思ってない!

あんたは、そうやって人のドン底が見たいだけ!

「あんたが一生懸命仕事を教えてくれて、あんたみたいに涼しい顔して便器磨きたい!あんたみたいに!って思って、こっちだって必死で覚えてるってのに!」

輝は黙ったまま、頷いて私を見つめる。

「なんの戦力にもなりません。…あんたのその一言で、どれだけ私は傷付いて悲しかった事か…あんな言葉は絶対に言ったらダメな事くらい分かるでしょ?…社会人なんだから…」

私はたまらなく涙がドッと溢れ出す。

社会人として。

そうやって、輝は私に何度も世の中で通用してる常識を押し付けてきた。

そんな常識のある輝が、そんな非常識だって分かってる言葉を私に言わないでよ…。

あんたのカブが下がるじゃない。
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