私は異世界の魔法使い?!
『……人の意識の中に入る事は容易な事ではない……一歩間違えば、お前も巻き込まれて男の意識の中で迷い続けることになるかもしれない……。
そうなれば、もう目覚める事は無くお前も眠り続けることになる……男の意識の中で、永遠に……それでもいいか』
(……うん、構わない)
即答だった。
そこに迷いなんて一切無かった。
だって本当にそう思ったから。
私は死にたくなくて、ここにいる。
それは両親や友人の悲しむ顔が見たくないから。
海斗の悲しむ姿なんて見たくないから。
海斗に想いを伝えたくて、海斗にもう一度会いたくて……自分の気持ちに後悔なんてしたくなくて、私は今、ここにいる。
カイトは私のよく知る海斗では無い。
けれど海斗と同じ心を持ってる人。
ここに来る前見た光景、私が死んで、海斗が泣いてるように悲しんでくれていた。
それと同じで私は海斗が死んだら間違いなく悲しくて泣くだろう。
きっとそれは同じだから。
カイトがこのまま目覚めなかったら私は……。
そう思うと私の心が一気に冷気を感じ、冷え込む。
万が一目覚めれなかったとしてもカイトの意識の中でなら、いいよ。
ひとりで死ぬより全然、いい。
……そう思って。
(お願い、私をカイトの元に連れて行って……)
カイトの頭を抱き寄せ、強く、強く、願った。
『……承知した』
そんな声を聞いたか、聞かなかったか……。
私の体がどんどん重くなって……でも脳は、意識はふわりと宙に浮くような感覚で。
そのまま私は意識を失ったーー。