私は異世界の魔法使い?!
「私はミア。あなたは?」
気がつけばカイトの腕は地面に向かって伸びていた。
ミアの魔法が解けたのだろう。
「……なんだよ。俺には名乗らないんじゃなかったのかよ」
「馬鹿に名乗る名前は無いって言ったのよ。けど……あなたはもう、馬鹿じゃないでしょ?」
カイトのやや釣り上がった目尻が、角を落とした。高い鼻の頭を指で掻いてぶっきらぼうに言葉を吐き捨てる。
「……カイト」
それはカイトが嬉しい時や照れ隠しによくするクセだ。
それをそばで見つめる私は、妙に胸が苦しくなった。
果たしてあそこにいるのがミアではなく、私だったなら……カイトの心を開かせる事が出来たのだろうか。
ーー自分に嫉妬するなんて、ほんと馬鹿げてる。
そう思って首を振った。
「カイト、私はこの国で一番のソーサレスになる。だからそうなったら、私の手助けをしてくれない? 最強のソーサレスの第一ソーサラーとして。あなたならもっと良いソーサラーになれるわ」
「ふん……なんだそれ……。まぁでも、どーしてもっていうのなら……」
相変わらずぶっきらぼうにそう言うカイトだが、ミアは嬉しそうに微笑んだ。
そんな光景を見ている時、再びあの竜巻のような突風が私を包み、そして消えていたはずの鉄の扉が現れた。
「あっ、ちょっ……!」