私は異世界の魔法使い?!
「この森は幻影を見せてやって来た者を迷わせる。前に進んでいるように見せて、後退しているのかもしれない。
どれだけ歩いたところで、実際は同じ場所を回っているだけなのかもしれない。だから進むべき道が現れるまでこうやって歩くしかないんだ」
「なにそれ。じゃあ向かう先に到着するのには1時間どころか何日もかかるかもしれないじゃない!」
「だな」
「なーにが、だな、だ! どうにかなんないの!? カイト得意なその剣で時空でもなんでも切り裂いて目的地に行ったらいいじゃない」
すると突然カイトは足を止め、私を見やる。
「いいか、お前のように知識も頭も足りない人間に俺が一つだけ教えておいてやる」
「うるさいな! 頭は余計でしょ!」
私のボルテージは最高潮に達しようとしていたが、そんな様子気にも止めないから余計に腹が立つ。
憤慨する私の言葉には取り合わず、話を続けるカイト。
「世の中なんでも出来るってものは無い。ここには濃い魔力が溢れている。それはこの土地や草木から溢れた自然なものだ。それを消す事は不可能に近い。
だから切り込む事は出来ても、そこからこの森の中で目的の場所に移動するという事は決して簡単な事ではない」
「……?」
こいつ、たまに小難しく言うよね。
ほんと、カイトのくせに。