私は異世界の魔法使い?!
「じゃあ、なんであの時私のところに来たの? 歪みの原因や場所はわからなかったんでしょ」
初めて会った時、ノアは言った。
私を助けに来たって。
それから、私はまだ死ぬはずじゃないって。
じゃあそれらはどうしてわかったのか。
「歪みが起こり始めた原因はわからないけど、歪んだ瞬間はわかったんだよ。耳の付け根に鋭い痛みと、強い次元の歪みが現れたからね」
「ふ〜ん……」
まだまだわからない事だらけだったけど、ノアが再び前を向き進む速度を上げるから私もそれに習って歩む足を速めた。
「さぁ質問はそのくらいにして、早く行こうよ。行って全てを解明しなくちゃ!」
うん、と小さく声を返した。
けれどその声には強い意志と信念を携えて。
絶対に元に戻るんだから。
あの世界のあの場所に、必ず。
そうして私も前を見やった。
少しずつ近づいてゆく黒い宮殿を睨みつけるように。