私は異世界の魔法使い?!


前髪をさらりと払いのけ、白い素顔が横を向いた時、再び私は言葉を投げかけた。


「ねぇ、ririaはどうしてこんなにも私に良くしてくれるの?」


私は元々この家の住人だったとはいえ、今はririaの家。

その家に勝手に上がり込み、その上瀕死の状態で……普通ならかなり気持ち悪い状況だ。

私なら110番通報ものかもしれない。

いくら怪我人だとはいえ、警察でも呼んでおけば後は病院送りなりなんなりしてくれるだろうし。


それなのにririaは通報したりせず、警戒もしている様子はなく、ただひたすら私を介抱してくれた。

それは一体なぜ?


「どうしてって……そうね、miaからすれば逆に怖いわよね」

「そんな事はないけど」

「ただ私はね、miaあなたに会ってみたいと思ってたのよ。ここに住んで、miaの残したものに触れて、miaの日記を読んで、あなたに興味が沸いたの……。理由を上げるとすれば、それかな」

「ねぇ、そのさっきから言ってる日記見せてくれる? ririaの帰りを待ってる間暇だし、読んでたら記憶が蘇るかもしれないし」

「もちろん、いいわよ。元々これもあなたのものなんだから」


そう言って机の引き出しから赤黒い革表紙の一冊のノートを取り出した。

それは思っていたよりも、なかなかの分厚さだ。

手に取るとずっしりとした重みが感じられ、表紙に金文字で書かれた『Diary』の文字をなぞった。

明らかに年季が入った日記だ。



「じゃあちょっと出かけてくるわね」



そう言ってririaは部屋を出てゆき、扉の音を最後に辺りには沈黙が立ちこめた。




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