諷 花 抄


* 風 *






小さい頃の夢は









風になることだった。





しきりにうねる、不規則な風も






平穏な野を駆けるやわらかい風も





街を吹き抜ける颯爽とした風も





今、この丘に立つおれをなびかせる涼しい風も







おれにとっては







魅力的なものだった。









おれは独創力ゆたかな幼少時代を過ごしていたのだ。


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