キミが泣くまで、そばにいる


 外見がよくて、無邪気に笑いながらえげつないことをして、そのうえ頭までいいって……。

「どこまでアカツキとかぶるんですか、あなた……」

「まあまあ、そんなに気を落とさないで」

 私が成績のことで落ち込んでいると思ったのか、レミの口調は優しい。

「ちーちゃん、数学だけはびっくりするくらい良かったんでしょ?」

 そうなのだ。ほかの科目はことごとく平均点以下なのに、数学だけ驚きの80点台をマークした。
 ファストフードでアカツキに教えてもらったところが出たからだ。

 ひとりで黙々と勉強していた微笑み王子の姿を思い出す。

 よく考えてみると不思議だ。
 あんなに完璧な王子が、なぜ私なんかをわざわざ小間使いにしているのか。

 脅されてるといっても、言いつけられるのは単なる雑用ばかりで、たいしたことはない。

< 102 / 273 >

この作品をシェア

pagetop