キミが泣くまで、そばにいる


 ・

 連れてこられたカラオケ屋で私が目の当たりにしたのは、意外な人の意外な才能だった。

 通された個室は広めで7人入っても余裕がある。

 コの字型のソファ席に、画面に近いほうからレミ、私、アカツキが座り、ドアの近くにダイチくんと高槻くん、そして私たちの対面にセイとトワくんが座った。

 音楽がかかると、トワくんが両手をメガホンにして叫ぶ。

「待ってましたレオ様!」

「レオの美声最高ォ! 抱いてくれぇー!」

「ダイチ、キモい」

 無表情のまま答え、高槻くんがマイクを持ち上げる。

 えっ――

 私はぽかんと口を開けてしまった。
 凛とした声が、びりびりと背中を駆け上がる。

 高槻くんは高音がきついと言われる男性アーティストの曲を、難なく歌いこなしていた。

「レオォォ!」

 曲に合わせ、トワくんとダイチくんが拳を突き上げる。

 普段の物静かなイメージからは想像もつかない、堂々とした歌声だった。圧倒されて、トリハダまで立つ。

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