キミが泣くまで、そばにいる
無意味に彼を見てしまう私も変だけど、アカツキの笑顔もおかしい。
学校で見るアカツキの笑みは、何かが欠けている。
タクシーの車内で見た静かな横顔や、私にシュシュをくれたときのほどけそうな微笑みが、脳裏によみがえった。
アカツキを見るといろんなことが思い出されて、頭から離れなくなる。
気持ちが乱れはじめる。
だから、見ないようにしてるのに。
「知紗」
「はいぃ!」
間近で呼ばれて返事をした。
もはや条件反射だ。
すぐ横にアカツキが立っていた。微笑み王子の名のままに、穏やかな、でも何か足りない笑みを浮かべて、
「今日の帰り、図書室に寄るから付き合って。荷物持ち」
「は、はい……」
にっと笑い、女の子を引き連れて、ひょろりと細長い背中が去っていく。
ワックスで動きをつけたアッシュブラウンの髪はとても目立つから、どこにいても、どうやっても、やっぱり目に入ってしまって、私の心を波立たせた。