性別「少年」属性「乙女」
「ううん」


ボクは首を横に振った。

つらくなんてない。

陸さんが、僕の側にいてくれるのに、それ以上、何にも望むことなんて、ないよ。

だから。


「大丈夫だよ、陸さん。ボクは、大丈夫」

「マコトの大丈夫は、信用できないからなぁ」


ぽん、と、軽く、陸さんの手が、僕の頭を叩く。
そのまま、くしゃっと撫でてくれる手が気持ちよくて、ボクは、笑った。


「ほんっと、子猫みたいに可愛い顔するんだよな、マコトは」


いったい、どんな顔なんだろう。


「そしたら、俺はいったん帰るけど、また夕方には来るからさ」

「え……?」


そう、だよね。
陸さん、お母さんにも、何にも云わないで泊まってくれたって、言ってたし。


「うん。ありがとう。陸さん。ボク、大丈夫だから。ゆっくり休んでね」

「マコトもな。結局、昨夜はあんまり眠れなかったろ。今日はゆっくり休むんだよ」


陸さんが、ボクを見て、笑う。
< 290 / 525 >

この作品をシェア

pagetop