性別「少年」属性「乙女」
「そんなんじゃない」

「嘘。祐介のそんな顔、初めて見た。ほんとに、好きなんだ」

「リクさんにも、そういう顔をさせる相手が、できたんだね」


否定をしても、ふたりにはまるで通じない。

バーテンに、軽く手を上げて、ソルティドッグを頼む。


「ね。向こうからメールくれるくらいなのに、うまくいってないの?」


うるさい。


こういうときの女性の声は、それだけで苛立つ。


「恵美ちゃん」


オサムが、そっと、恵美に向かって首を横に振る。


「だってオサムちゃん、あたしたちには、知る権利があると思わない?」

「そんな権利、誰にもないよ。話したくなったら、話してくれれば、それでいいじゃない」

「オサムちゃんって、ほんとイイコちゃんだよねー」

「ただいま彼氏とラブラブ中ですから」


カウンターに置かれたソルティードッグのグラスを、俺は持ち上げた。


「あ、リクさん、乾杯しよ」

「いったい何に乾杯するんだよ」

「そんなの、リクさんに再会できたことでも、なんでもいいじゃない。ね?」
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