幻想
 恭一は再度、余裕のある笑みを見せる。櫛いらずのさらっとした髪。オブジェにでもdけいそうな整った顔、歯並び。仕事帰りなのか、紺のスーツが男の色気を出す。
 鈴音にはよくわからないが、どうやら旅をしに、りょうもう号に乗り、赤城まで向かうらし。ただひとつ。
 すべてを終わらせる。
 恭一の言葉が鈴音を少なからず不安にさせた。
 なにを終わらせる?
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