おとななこども
唇に触れたぬくもりに、あたしは一瞬何が起こったのかよくわからなかった。

えっ…?

何…?

会長の唇が離れる。

離れた彼の唇には、グロスがついていた。

会長はフッと妖しく微笑んで、
「甘いですよ」
と、言った。

「あなたの唇に、もう1度キスをしたくなる」

「――ちょっ…」

やめてと言おうとしたあたしの唇をふさぐように、会長の唇が触れた。

「――んっ…」

チュッと、会長の唇が触れる。

啄ばむように触れたり、感触を確かめるように触れたりと、何度もキスされる。
< 160 / 343 >

この作品をシェア

pagetop