おとななこども
百花ちゃんは笑って、
「まあ、よろしくね?

えーっと…」

「平岡桃です」

あたしの顔を見ている彼女に自分の名前を教えた。

「ああ、同じモモなのね。

私のは“百の花”って書いて“百花”だけど」

「えっ、そうなの?」

驚いて返したあたしに、
「あなたは?」

百花ちゃんが聞いてきた。

「果物の方の」

「…なるほど」

百花ちゃんはうなずいた。

「私と同じ“モモ”だからお兄ちゃんに気に入られたのね。

まあ、同じ“モモ”同士よろしくね?」

百花ちゃんは笑うと、中に入って行った。

あたしも気づかれないように息を吐いた後、後に続いた。

兄も変人なら、妹も変人なのね。
< 70 / 343 >

この作品をシェア

pagetop