夜桜

広いリビングにテーブルを二つも並べて、二人でちょこんと向かい合っている図は、知らない人間が見たら滑稽だったに違いない。


「残ってももったいないし、じゃんじゃん食べちゃおう」


「って、これ全部たいらげるつもり?」


「それは、やっぱ無理よね」


「うん、ちょっと無理」


彼女の明るい笑い声が部屋中に響く。
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