夜桜

「う、ん…」


頭半分くらい背が低い彼女はすっぽりと僕の腕の中に収まっている。

平静を装っていても、加速する僕の心臓の音を彼女は背中で感じているだろうか。


「五階って、けっこう眺めいいんだね」


「うん、こっちは東側だから、朝陽も見えますよ」


「へえ」


「冬は毎朝、ご飯食べながら日の出見てた」


「すごいなあ」
< 28 / 55 >

この作品をシェア

pagetop