先生の「特別」にしてくださいっ!
「俺、父親はいなくて、母親は大学教授で、
それも民俗学とかやってるからさ、
よく海外に行ってて、
昔からあんまり家に居なかったんだよね。」

へえ…大学教授か。
そりゃ先生も頭良いわけだよ。

「俺には3つ上の兄貴がひとりいて、
母親がいない時は、
ずっと面倒みてくれてたんだ。」

へえ…

「俺、
昔はしょっちゅう風邪引いてたからさ、
その度に、兄貴が側にいてくれて、
玉子粥作ってくれてた。」

「お兄さんは、今どちらに?」

「ああ、学校の近くで医者やってるよ。」


医者か!兄貴、医者かよ!
そんな近くに医者の兄貴がいるんなら、
ひとりで寝てないで、兄貴に面倒見て貰えよ


「そう!兄貴に連絡したんだけどさ、
なんでも、今日、夜勤らしくてさ。
医者って忙しいのな。」

私の考えを見透かしたかのように
先生が言った。

夜勤ならしょうがないな。

「まあ、それは別にいいんだけど。」

いいんか。
寂しいとか言ってたくせに。
< 121 / 418 >

この作品をシェア

pagetop