先生の「特別」にしてくださいっ!

生徒としての私

「えー…この二学期というものは、
行事も、たくさんあり…」

長い。
暑い。
疲れた。

「まだ終わらないわけ?」

と思わず、心の声に表に出してしまったら、

「凛、声大きいって。」

と雪乃に咎められた。


本日は二学期の始業式。
9月の初めは暦の上では秋だけど、
まだまだ残暑で、気温は高い。

そんな中、サウナのような体育館で、
大してありがたくもない校長先生のお話を
聞くという行為は、
もはや、ただの苦行である。

「だって先生達だけ椅子あるの
ズルくない?
…悠美っち寝かけてるし。」

いくら私たちが若いからって、
暑いのは一緒なのにな…

「あ、本当だ。船こいでる。」

「生徒は暑い中立たされてるというのに、
いいご身分だよ。」

ちなみに、谷中先生は…
と見ると、

完全に寝てる。

船をこぐってレベルじゃない。
がっつり下を向いてる。
通常の人間生活ではあり得ない角度で
下向いてる。

「でも、先生達は
あとで怒られたりしないのかな?」

と、雪乃。

「怒られるって?誰に?」

「………校長?」

「俺の話の時、寝てたろって?
随分寂しい説教だな。」

「たしかに。」
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