先生の「特別」にしてくださいっ!
「谷中せんせー!」
「今、お帰りですかあ?」

話しかけられて振り向くと、
後ろに二人の生徒がいた。

正直、
今はかまってる場合じゃないんだけど、
むげに扱うにもいかないので。

「おう!まあな。
お前らも帰り?
まさか、寄り道とか考えてねえよな?」

滝野を横目で追いながら話をする。

「だいじょぶですよお!」
「まっすぐ帰りますって!」

「ならいいけどよ。」

階段を上り、ホームに着く。
滝野はホームをずんずん歩いていく。

ああもう、
危ねえからもう少し内側を歩けよ!

そんなことを心の中で叫んでも、
滝野に届くはずもなく、
俺も必死に滝野を追いかけるけど…

「先生の家もこっち方面なんですかあ?」

一緒に歩いていた生徒達の足が止まる。
まずい!滝野との距離が離れる…

「お前らも?」

落ち着け、俺。
今、
ホームにいるってことは乗る電車は同じだ。

「はい!私達○○駅で乗り換えなんです。」

その駅は、
滝野と俺のアパートがある駅の3つ前にある
大きな駅だ。
そこで、この二人と別れてから、
車内を探しても大丈夫のはず。

「そこ繁華街だけど、
本当に寄り道しないだろうなあ?」

「ひっどーい、先生!
そんなに疑わないでくださいよお!」

そんな話をしていると、
ホームに電車が滑り込んできた。
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