先生の「特別」にしてくださいっ!
「一也、ヘアアイロン貸してー?」

風呂上がり、
一也の部屋にヘアアイロンを借りに行く。

夏の旅行の時に一也が持っているのは
確認済みだ。

ったく、今時の小学生はませてるんだから。
なんで小学生男子がヘアアイロンなんて
持ってるんだよ!
って思ったというか言ったから、
よく覚えている。

「ちょ…ノックぐらいしろよ!」

「いいじゃん姉弟なんだから。」

義理のだけど。

「よくない!普通よくない!」

「あ、さてはエロ動画見てたな?」

机の上のパソコンに目を向けると、

「見てねえよ!
ていうか、何しに来たんだよ?」

怒られた。

「いや、だから、ヘアアイロン貸して。」

「はあ?何で?」

「何でって、持ってないから。」

12歳だったら、
そのくらい考えられるはずでしょ?

「持ってないなら
今まで使ってなかったんだろ?
じゃあ、使わなくていいじゃん!」

一理ある。
でも、

「持てる人は持たざる人に貸し与えるべき
なのです。
かの有名なイエスキリストは言いました。
左の頬をぶたれたら、
右の頬を差し出しなさい。と」

「意味わかんねえし!
あと、なんかちょっと意味ちがくね?」
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