先生の「特別」にしてくださいっ!
金曜日の昼休みが終わったこの時間は、
日本史の授業。

私がアパートを出て、最初の授業。

緊張してないと言ったら嘘になる。

ドキドキドキドキ…
さっきから、こんなに鼓動が早いもん。

先生は修学旅行のお土産話をしているけれど、
全然、耳に入ってこない…


ようやく雑談が終わったのか、
先生が出席を取り始める。

「相澤ー」

「はぁい!」

相澤さんから順番に呼んでいって、

「高橋ー」

「はい。」

雪乃が呼ばれる。
次、私だ。

「滝野ー」

ドキッ!

「はぃ…」

名前を呼ばれて目があっただけで、
どうしてこんなに動揺するの?

でも、
先生に名前を呼ばれるの、
先生と目があうの、
すごく久し振りな気がする。

まだ、実家に帰って一週間もたってないのに、
もう何年も先生と会ってない気がした。

寂しくなかったと言ったら嘘になる。

寂しかった。

だから、久々に見て、
名前を呼ばれてほっとした。

私は先生と会えなくなったわけじゃない。
学校に来れば、先生と会えるんだって、
そう、思えて。

切ないけれども、少しだけ嬉しかった。
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