略奪ウエディング


週末に課長と過ごしてから、私はぼんやりとその時のことを思い出す時間が増えていた。
これじゃダメだわ。スミレの言う通りよ。課長に迷惑をかけてしまう。

だけどあの日の彼は、余りにも素敵で、幸せで、魅力的で。
甘えたような課長の視線を思い出しては胸を熱くする、それの繰り返し。

「グラフ集計、終わった?」

課長が私のそばにやって来て言う。
…あ。

目が合って私は固まってしまった。

キラキラ。課長の周囲が明るく輝いて見える。
…重症ね。自分で自分に突っ込んでしまいたくなる。

「早瀬?グラフだよ」

「あ、今やっています。…遅れてて」

私が言うと課長は私の手元を覗きこんだ。そして眉をひそめる。

「朝からかかってまだそんなところなのか?今まで何をしていたんだ!きちんとしてくれないと困るな」


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