My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



途端に一気に張りつめた空気が世界を覆う

カチャカチャと金属の音が響く

世界が再び闇に包まれて、色を失い始めた



思わず、ぐっと手綱と剣を握りしめる



――アレン



迫り来る死の足音を聞きながら、彼の名を呼ぶ



どうも約束は守れそうにない

そう思って、一度強く瞳を閉じた




その瞬間








「なんだっ!? あれはっ!?」




世界の端で誰かが大声で、そんな言葉を落とした

途端に瞳を開けて、辺りを見渡す


すると




「――あれは...」



森の入り口に騒然と並ぶ大勢の軍

黒いガスパルの軍を囲む様に、並んでいる

そして、その軍隊が掲げているもの




黄金に輝く多くの旗

それが示す国はただ1つ――





「竜族だっ!! 竜族の軍隊だ!!」

「何だとっ!? ふざけた事を言うなっ!! 竜族は我らが滅ぼしたはずっ」

「ありえないっ! この国に援軍はこないはずだっ!」



悍ましい数の軍隊を見て、徐々に血の気を引くガスパル

騒然と並ぶ騎馬隊を見て、ジリジリと後ずさりしている




「――アレン様…アレン様だ!! アレン様が軍を率いて帰ってきた!!」

「竜族が助けに来てくれたっ!!」



そんな中、騎士達が歓喜の声を上げて天を仰いだ




「アレン...」



軍の戦闘に立つのは、愛しい人の姿

美しい瞳と同じ旗をたなびかせて、剣をゆっくりと抜いた
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