My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「――‥悪かったな」
小さく、そう呟いた彼女の言葉に首を傾げる
何が? と思って
「そなたを...引き留めてしまった事だ」
長い睫毛を伏せて、申し訳なさそうにそう言うレイア
先ほどから俺の顔を見ずに、ずっと俯いている
きっと、彼女は自分が引き留めたから俺がここに残ったと思っている
自分が俺に国を捨てさせたのだと――
そう思い込んで、思いつめている彼女を見て思わず笑みが零れる
どうにもこうにも、嬉しくて
何故か、とても幸せだと感じて
目の前に映る、この『時の庭』に再び来れた事も
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