アイスブルー(ヒカリのずっと前)
拓海は家の門に近づいた。
門に触れると日差しで暑い。
首をのばして「すいません」と声をかける。
返事がない。
「すいませーん」
結城も首をのばして声をかけた。
「いないのか?」
「あ、これ」
拓海は門がついてるコンクリートの柱に、旧式の呼び鈴がついているのをみつけた。
鳴らしてみる。
家の奥から「ブー」という、壊れたような音が聞こえた。
結城が「変な音」と笑った。
「はーい」
玄関ががらりとあいて、鈴音が出て来た。
白いTシャツにカーキ色のパンツ。
首にタオルをかけ、頬は暑さで上気していた。
そして胸元には、やはり青白い光が見える。
白くて、
青くて、
そして、そう、
痛い感じ。
拓海の顔をみて、鈴音は驚いた顔をみせ、そして笑顔になった。
「久しぶり」
鈴音はサンダルをはき、門のところまで来た。
「ご無沙汰してました」
拓海はぺこりと頭をさげた。
「本当に、いつ返しにくるのかなって思ってたわよ」
鈴音が笑いながら言う。
「すいません」
拓海はまたぺこりと頭を下げた。
「怒ってないわよ」
鈴音はそう言うと、ちらりと結城の方を見た。
「こんにちわ」
結城が頭をさげた。
「こんにちわ」
鈴音も答える。
「あの、これ」
拓海は鞄から袋を取り出す。
「ありがとうございました」
「はい」
鈴音は笑顔でその袋を受け取った。
「あれ以来、倒れてない?」
「大丈夫です」
「そう。ならよかった。なるべくお腹を減らさないようにね」
鈴音が言った。
「はい」
拓海は照れくさくなって、少しうつむいた。
「行く?」
結城が拓海を見て言った。
「うん」
拓海も結城を見て、そう答えた。
「わざわざありがとう。気をつけて」
鈴音は軽く手をあげた。
拓海は名残惜しい気持ちでなかなか足が動かなかったが、すでに背を向けている結城の後を追って歩きだした。