LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 彼女の胸は、既にいっぱいになりつつある。小さく深呼吸して、胸のとどろきをおさめていた。

「カレシできたか?」

「え? あぁ、それなりにね。今はいないけど」

「そっか」

 雄二は、懐かしさを含ませて笑った。

「あ、そうだ… これ」

 深空がかばんから取り出したのは、あの時に拾った黒い定期入れだった。

「これ、落としたでしょ」

 彼女はそれを雄二に差し出す。彼は驚きから安堵の表情を浮かべ、それを受けとった。

「社員証がねぇなーって… いや、助かった」

 雄二は大事そうに胸ポケットにしまう。その様子を見ていた深空は、意地悪な笑みを浮かべていた。

「それだけじゃないでしょ」

 彼女がそう言うと、雄二は決まり悪そうにしながら、おもむろに取り出したネクタイをしめ始めたのだ。

(やっぱり…)

 彼の反応に、深空はますますその“ゲーム”を楽しみたくなっていた。

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