LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 洗い物を済ませたあとは、ケーキ作りに取り掛かる。しかし、さすがに一人暮らし用のキッチンでは、できることが限られているため、深空は予め家で焼いてきたスポンジケーキに、泡立てたクリームと苺で飾り付けを始めた。

 家事に慣れているとはいえ、ケーキ作りは不慣れな深空は、苦戦しながらクリームをのばしていく。

(なんか、うまく塗れない…)

 ケーキ屋で売っているの様な、滑らかな表面のケーキとは違い、クリームをのばすパレットの跡がくっきりと残ってしまうのだ。

(クリームが固すぎたか…)
それでも必死に修正しようとクリームをのばすが…

(……)

 手を止めて、自分で作ったケーキを少し離れたところから眺めてみる。

(…ま、いっか)

 苦笑いを浮かべながら、出来上がったケーキに箱を被せ、彼女は冷蔵庫にしまった。

(さ、次、次…)

 自分を納得させるように、次の作業に移る、深空。こんな調子で、彼女は彼と過ごす夜のために、準備を進めていた。

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