LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 彼女が伸夫を落とすのは、簡単だった。

 彼と接するうちに、彼が寂しい境遇であることを知り、彼が求めているものが手に取るようにわかるようになったのだ。そうして深空に完全に心を許した彼は、付き合っていた彼女を捨てて深空を選んだのだ。

 しかし、いざ付き合ってみると、彼女の思惑は外れていた。伸夫は、何かと彼女の身体を貪るように求めるようになってきたのだ。

 それは、彼女の目からしても異常であった。深空の身体を求めることで、伸夫は安心を手に入れようとしていたのだ。さすがの深空にも、どうしてそんなに不安になるのか、何が彼をそうさせていたのか、全くわからなかった。

 最初は優しく笑ってその要求に応えていた深空だったが、 段々負担でしかなくなっていた。

(あたしは、あんたのママじゃない)

 耐え切れなくなった深空は、伸夫に別れを告げ、彼との関係を解消したのだが…

(…行こう)

 深空はすでに過去になった嫌な記憶を振り払い、足早に駅に向かった。

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