LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 父との思い出が、走馬灯の様に彼の頭の中で回りはじめる。それは数えられないほどの掛け替えのない宝物…

 忙しい父ではあったが、遠くからでもちゃんと見ていてくれたのだ。一生懸命に取り組んだことには必ず褒めてくれた。そして、何かを投げ出しそうになった時は、励ましてくれたり、叱ってくれた。

 たまの休みにするキャッチボールは楽しかった。一緒に遊べることが嬉しかったのだ。

『また、やろうな』

 父が笑って誘ってくれた時の顔は、今でも忘れない…

 そんな父、正雄の命が消えようとしているなど、雄二には信じられなかった。

 人は、いつか必ず死ぬ…

 当たり前なことなのに、彼は簡単に"父の死"を受け入れることなどできなかった。

< 222 / 376 >

この作品をシェア

pagetop