LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「彼も今までの緊張が無くなって、気兼ねなくひかりちゃんと接しているわ。悩む種が無くなったわけだから」

「そ、それはよかったですね」

「…そうね」

 そう答えつつも、翠の顔は曇っていた。

(…?)

 その変化に気付き、深空は眉をひそめる。

「彼は自分のこどもを欲しがったわ。他に守るものができれば、あなたのことを忘れることができるって思っていたかもしれない」

「……」

 深空は、先日雄二が自分に触れたことを思い出していた。そして、飛び出してしまいそうな想いを口にしようとしていたことも…

(こどもがいたら、それだけで幸せになれる。自分の血を引く子なら、尚のこと…)

 深空は目を伏せた。

 雄二と翠の間には、事情があってこどもができないことを察していた。

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