LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

　先日、翠がこの部屋に来てから数日。深雪を離すまいと、深空はふたりの時間を意識していた。

「あ、深雪、よくカミカミして」

「ん」

　パンをたくさん頬張りながら、深雪も笑顔で答えていた。食事の後は休む間もなく出かける準備だ。着替えさせ、歯を磨き、髪を梳く……

　慌てながらも無事支度を済ませ、深雪は鏡の前でポーズを取っている。新しい服を着た彼女の顔には、笑顔が浮かんでいた。

「さ、深雪、行くよ。クック履いて」

　変にませている娘に爆笑しながら、深空は仕事鞄を手に取り、玄関に向かった。そして、いつものようにしっかりと手を繋いで家を飛び出した。

　外に出ると、眩しい日の光がふたりを照らす。今日の空は雲ひとつ無く、気持ちのいいほど晴れて、とても清々しかった。こんな日は、それだけで深雪のテンションが上がる。繋いだ手をしっかりと握りしめ、ふたりはおしゃべりしながら歩いていた。