LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「沢崎さん?」

 ボケッと考えていると、木村が不審そうな目を深空に向けた。

「何か、心当たりでもあるんですか」

「いえ、ないです」

 今度はきっぱりと深空が答えると、木村は首を傾げながら「目撃者の聞き込みを他の刑事がしていますから、またなにか解るかも知れませんね」

 木村がそう口にした横で深空は考えていた。

 いくらラッシュと言えども、夕方のラッシュは朝のラッシュほど酷くはないはずだ。必ず、目撃者が出るはず…

 深空には、背中をぐっと押された感触が残っていた。

 もし、翠が自分を襲ったのだとしたら?

 目的は明白だ。しかし、そんなリスクを背負ってまでなぜ深雪を強奪する必要がある?

 例えば、雄二が子どもをのどから手が出るほど欲しがっているとする。妻の翠は子どもを産めない身体だ。しかしいくら血の繋がりのある子どもが欲しいとしても、彼がそこまでして彼女から奪おうとまでは望まないはずだ。

(あの人が、あたしから深雪を奪えるはずない…)

 そう考えた、ちょうどその時だった。

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