LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

 雄二が聞き返すと、深空は俯いたまま意を決したように唇をきゅっと引き締める。そして、ゆっくりと顔を上げ、雄二の目を真っすぐに見た。

「あたしはこんな女だから、あたしに『会いたいから…』とか言っちゃダメだよ」

 彼女は、笑っていた。こんな状況でそんな彼女の、"嘘みたいな"優しい笑みに、雄二は言葉を失っていた。

 暫しの沈黙―

 それを先に破ったのは、雄二だった。

「…俺の気持ちは聞いてくれないのか?」

 雄二の搾り出すような声が、鋭利な刃物のように深空の胸をズブスブと突き刺さる。しかし、深空はその痛みを抑え、首を横に振る。

「もっと大事なモノがあなたにはあるんだから…」

 彼女のその言葉で、雄二は静かに立ち上がり、よろよろとしながら病室を後にした。深空はドアの閉まる音を聞くと、すぐに目を閉じ、まどろみはじめる。
< 87 / 376 >

この作品をシェア

pagetop