LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 廊下に出た雄二は、ナースステーションに声をかけ、エレベータを降りた。

 ほとんど明かりが付いていない待合室の椅子に腰を下ろす―

「あいつの言う、俺の"大事なモノ"って何だよ…?」

 背中を丸め、前屈み気味に座った彼は、右手で拳を作り、それを左手で受ける。

「俺は、もう終わらせてきたのに…」

 誰もいない待合室。大きな窓からは月明かりが射し、彼を背中を薄く照らしていた。

 何もできない自分に、これほど無力感を感じたことが無いと、雄二は自責の念に駆られていた。

 自然にあふれて来る涙は、大きな粒となり、頬を滑り落ちる…

 彼は夜が明けるまで、そこに座っていた。

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