LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 物心付く頃から、仕事だと言い、父は家を空けるようになった。気付けば、あたしは父の背中を覚えていない。あたしが起きる頃にはすでに家を出ており、あたしが寝た後に帰ってくる。そして、夜中にトイレ等で目が覚めると、リビングの方からケンカする声が聞こえてくるのだ。

 ドアの隙間からそっとのぞいてみる…

 母が泣きすがっていた。父はそれを振りほどこうとする。

 一体この二人に何が起きたんだろう…?

 こどもの頃のあたしにはわからなかった。でもひとつわかるのは、母はまだ父を愛していて、父は心変わりをしていた、ということ。

 世間では、こどもは"愛の証"とよく言うが、あたしの場合は当てはまらない
。あたしは、愛の証でもなんでもない。それでも、あたしが母を守らなければならないと考えていた。あたしだけが母の味方であると…

< 91 / 376 >

この作品をシェア

pagetop