婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。
(このままだと敬太様、またもや原作を無視して私に『パートナー』を申し込みそうだったからね……
どうやって断るか頭を悩ませていたところだったし、まさに渡りに船!)
もしも私が敬太様に『パートナー』を正式に申し込まれてしまっていたら、
ほぼ確実に私はその役目から逃れられなかっただろう。
だって私たちは婚約者、断る理由が無いのである。
むしろ、断れば断るほど
『面白いやつだ!』
とかいってこちらに詰め寄ってきていた可能性もあった。
そのまま
断り切れなくなる
→パートナーになる
→傍から見れば仲良しカップルに見える
→婚約から逃げられない
→敬太様と真凛ちゃんが結ばれない!!
なんて未来が簡単に想像できて、思わず私は身震いする。
……しつこい男は嫌われますよ、って今度さりげなく伝えておこうかな。