続・赤い流れ星
「シュウさん…俺、あの時は目の前の出来事がとても信じられなかった。
今までも、ここが浮気したことはあったけど…現実にあんな光景を目にしたら…
そりゃあ、もう……なんて言ったら良いのか…」

「隼人君…悪いけどここあちゃんとひかりとは違う。
ここあちゃんは、元々社交的だし恋愛経験も普通の女の子よりもずっと多かったはずだ。
ひかりはね…本当に人見知りで…昔から友達らしい友達もいなくて…
男とつきあったのだって俺だけだし、だからもちろん俺が初めての相手で…
……最近よくでかけるようになったから少しは心配もしたけど、それでもやっぱり『まさか…』って想いがあったんですよ。
だけど、その間にひかりは…
ひかりの心はすっかりそいつの所に持って行かれてたんです。」

「シュウさん……諦めるつもりなんですか?
シュウさんの気持ちは変わってないんでしょう?
そんなに簡単に諦めて良いんですか?」

その言葉を聞いた俺は、失笑した。



「俺のことをもう汚いと感じる程に、ひかりは身も心もそいつのものになってるんですよ。
俺は自惚れてたんだ…
ひかりが俺以外の男にひかれることなんてないって信じてた。
馬鹿ですよね…
ひかりは、俺が部屋に入って行った時、少しも取り繕うとはしなかった。
悪びれた様子もなく『あ~あ、バレちゃった…』なんて言って…
あいつはなんでもすぐにおたおたする性格なのにね…きっと、俺と一緒にいるのがもう限界だったんだと思いますよ。
バレたことで、気持ちがさっぱりしたっていうのか…なんだかそんな感じでした。
……それでも…俺に諦めるなって言うんですか?」

責めるつもりなんてなかった。
隼人君が俺を励まそうとして言ってくれていることはよくわかってた。
なのに、俺はまるで聞き分けの悪い子供のようなことを口にしてしまってた。
みっともない…
自分が最低の男に成り下がってしまったような気がした。



「シュウさん…飲みましょう。
俺、今日はとことんつきあいますよ!」

隼人君は、そう言うと、自分のグラスをぐいっとあおった。
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