神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「四郎くん、一人じゃ無理だよ」


いくら強くても、全校生徒と教師を相手に、一人で戦って浄化までするなんて……。


あたしも浄化だけでも手伝いたいと、四郎くんの背中の影から出ようとするけれど。


「下がれ!」


まるで邪魔だとでも言うように、四郎くんはあたしを突き飛ばす。


倒れそうになった体を、小糸さんが受け止めてくれた。


「四郎くん……」


「……早く、避難しろ。
我には、誰かを守りながら戦うというのは、性にあわん」


「そんな……」


「行け!早く!」


四郎くんが怒鳴りつけたのは、あたしじゃなかった。


目を合わせたのは小糸さんで、彼女はうなずき、あたしの手をひいて走り出す。


「さあ……かかってこい、妖怪め。

この天草四郎の首、取れるものなら取ってみろ!」


四郎くんはまるで地獄の底から響くような低い声で怒鳴ると、遠慮なく杖を振り回しはじめた。


そんな……四郎くん。


どうして一人で戦おうとするの?


あたしじゃ、何の役にも立たないの?



< 256 / 379 >

この作品をシェア

pagetop