神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「やだ~!ひとりにしないでぇぇぇ~!」


天草さんから逃れて窓から叫ぶと、路上の兄弟がこちらを見上げる。


「自分の身は自分で守れ、美心!」

「俺たちも親に事情を説明する。
それからまた連絡するから」


事情を説明する?
説明して、どうするの?


大野家に天草さんを置いてもらえるならそれが一番いいんだろう。


だけど、あたしがオロチに襲われたとき、彼がいないと困る。


彼がもしオロチに怪我をさせられたときは、あたしがその気を消してあげなきゃいけない。


「一緒にいるしかないの……?」


窓から、春風がぴゅううと吹き込んできた。


「そうだな。あきらめろ」


振り返ると、天草さんがにっこりと笑っていた。


デパートのマネキンみたいな、よくできたお顔で。


ぞくりと、背中を冷たいものが駆け抜けていく。


この人……絶対黒い!決定的に黒い!


何されるかは想像がつかないけど、絶対いぢめられる。
そんな気がする!


「もう嫌ぁぁぁ……」



神様────。


どうしてあたしにばっかり、こんな試練を与えるのでしょうか?



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