神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


あたしは、おにぎりを見つめる。


こんな普通のおにぎりだって、なかなか食べられない時代があったんだな……。


天草さんはそんな時代に生きていたんだ。


なんだか、自分が恥ずかしくなってきた。


あたしはぱくりと、おにぎりを口にする。


「おいしいですね」


「だろう?」


なぜ天草さんが得意げなのかは、わからないけど……。


太ってはないと言ってくれたし、信じてもいいかな。


あたしにお世辞を言うような人じゃなさそうだし。


「そういえば天草さん、どうしてここへ?
家の中に食べるもの、色々あったでしょう?」


たずねると、天草さんは不思議そうに首をかしげた。


「あったか?」


「あったでしょ。
炊飯器にご飯もあったし、戸棚にインスタントラーメンもあったし……」


言ってる途中で気づいた。


たぶん、炊飯器はご飯が入っている入れ物に見えなかったのだろうし、

ラーメンにいたっては食べ物かどうかさえ、判断がつかなかったんだろう。



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