イジワルなキミの隣で
「ごめん、言い過ぎた」
…………
驚いて思わず佐伯先輩の方を見た。
佐伯先輩は困ったように私を見て、お手上げだとでも言うように自分の髪をくしゃくしゃ掻き回している。
「なんだよ?」
ポカンとする私に、佐伯先輩は怪訝な声を出す。
「佐伯先輩が謝ったなんてっ、信じ、られなくて……っ」
「お前の中の俺ってどんな奴なわけ?そこまで性格悪くねえし」
「…………」
「自分の言葉は間違ってねえけど、言い方がキツかったのは謝る」
そうですね。
確かにそうなんですけど。
憎まれ口を叩くと思った場面で素直になられると、私だってどう返したらいいかわからなくて戸惑うんです。