イジワルなキミの隣で
「わー、ヤバイ‼︎遅刻するっ」
それからどれくらい経ったのかわからない。
腕時計を見ると、出なきゃいけない時間を過ぎていた。
慌てて図書室を出て猛ダッシュで玄関まで走った。
靴に履き替えて駆け出そうとしたその時。
「今日航希の家行っていい?」
「んー、今日はムリー」
どこかからそんな声が聞こえて来た。
なんとなーく聞き覚えのある声に嫌な予感がする。
そっと様子を伺うと、ダルそうに靴を履き替える佐伯先輩の姿を見付けた。
しかもその隣には派手でケバい女の先輩がいて、上目遣いで佐伯先輩の顔を覗き込んでいた。
最悪‼︎
なんでこんなところで会わなきゃなんないのよ。
向こうは私に気付いていないみたいなので、そのままスルーを決め込んで駆け出した。