イジワルなキミの隣で


図書室に顔を出すようになってから1週間。


バイトの日も、出来るだけ時間ギリギリまで図書室にいるようにしていた。



光流先輩とはあれ以来会ってない。



「おい、バカ萌絵」



「な、また佐伯先輩ですか」



またバカって……。


ええ、もういいですけどね。


バカでもなんでも。



佐伯先輩はかなり不機嫌な顔で私の顔を覗き込んだ。



「ちょ、ち、近いですよ。あんまり近寄らないで下さい」



その整った顔にドキドキして


ソワソワする。


佐伯先輩といると


途端に心臓が激しく騒ぎ始める。



それもこれも


至近距離で顔を見られているせい。



「わ、私、もう帰るんで」



先輩の胸を押し返し、窓際から離れる。



緊張しているのがバレたらからかわれるので、顔を伏せるようにそこから退いた。


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