イジワルなキミの隣で


それでも先輩は無言のまま歩いて行く。



ズキッと痛む胸を押さえながら必死に後を追った。



「ちょっと!ムシしないで下さいよ」



腕を掴んで動きを止めようとした私の目に、佐伯先輩の冷たい横顔が飛び込んで来た。



「さわんな」



冷たい言葉に掴んだ手を思わず離した。



何も言い返せなくて言葉が詰まる。



今の佐伯先輩は


出会った頃の冷たい佐伯先輩で。



まるで


人が変わってしまったかのようだった。

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