イジワルなキミの隣で


「先輩、いつも何見て……」



見下ろすと向かい斜め下にある教室が見えた。



雨が少し強くなって頬を濡らす。



もしかして、先輩はいつもあの教室を?



…………?


あれ、は……智沙、先輩……?


ああ、そっか。


わかっちゃった。



先輩はいつも、ここから智沙先輩を見てたんだ。



途端に苦しくなる胸。


ズキンッとこれまでにないくらい深く痛んだ。


息が出来なくなるくらい。



何も


何も言えなかった。



ただあるのは胸の痛みだけで。



友達とはしゃぐ智沙先輩から目が離せなかった。


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