恋の糸がほどける前に


「う、ううう~……」


ぽたぽたと際限なく溢れてくる涙に視界が埋る。


思わずしゃがみこんで、自分の中に嗚咽を抑え込もうと膝に額を当てて身体を丸めた。



今まで知らなかった失恋の痛みを、今なら私にも分かるから。

イトコに戻る、という言葉が貴弘にとってどれだけつらい決意なのかも、伝わってきたから。


……ねぇ、貴弘。

これからも一緒にいてね。

こんなの、自分勝手ですごくヒドイわがままだって分かってるけど。


でも、これからも貴弘は私の家族なの。

いちばん近くにいてくれて、いちばん私を理解してくれる、私の大事なお兄ちゃん。


いつも私のことをからかうし、口を開けば意地悪ばかり。

だけど、絶対に私のことを裏切らないの。

絶対に私を置いていったりしない。


いつも背中を追いかけさせてくれる人。


そんなキミが、大好きで。

それはこれからも絶対に変わらない。



────もう下は向かないよ。


きっとまた、傷け合うことなく笑顔になれる時が来るって、信じてるから。


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