天使の涙

―――――


昼休み。私は給食を食べた後に、屋上へと足を運んだ。


「暑……」


ジリジリと照り付ける太陽が熱い。日影を探してそこに座ると、片手に抱えていた本を開いて読み始めた。


ゆったりと流れる昼下がりの時間。


「平和だなぁ……」


誰に言う訳でもなくポツリと呟いた独り言。だけど、何故か返事が返って来た。


「本当に平和ね」


「……?!」


貯水タンクが設置してある場所からニョキッと姿を現したのは、田舎臭さを微塵も感じさせないほど美人な女の子。私を見下ろしながら、ニコリと笑って挨拶をして来た。


「こんにちわ」


「こ…んにちわ、」


「もしかして読書のお邪魔だったかしら」


そんな事ないよと首を振ると、女の子はよかった、と微笑んでヒラリと地面に降り立った。


「ここ、人が少なくていいわよね。貴女、見ない顔だけど転校生?」


「うん。そう…」


女の子の話し方が訛ってないことから、地元の子じゃないと言うことが分かる。この子もどこか違う所から来たのだろうか。


「私は西嶋樹里。貴女は?」


「あ、私は凜。……西嶋さんて、もしかしてうちのクラスの…」


¨西嶋樹里¨


どこかで聞いたことがあると思ったら、いつも欠席している女の子だ。でも彼女は確か入学式から一度も学校に来ていない筈…


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